へき地
「へき地」と聞いてどんなイメージを持ちますか?あまりポジティブなイメージはないかもしれませんね。調べてみると「交通条件および自然的、経済的、社会的に恵まれない山間部や離島など」と書かれています。確かにそんな感じのイメージです。
私が一年半にわたり毎週通っている高知県下の医療法人が活動するエリアにも「へき地」と呼ばれるエリアがあります。2020年時点での人口は1,100人。現在はもっと少ないのではないでしょうか。そんなエリアに唯一あった診療所が、運営する医療法人の突然の撤退により厚労省が定義する「無医地区」となってしまいました。行政の担当者と協議を重ねてきましたが、まずは市の中心地にある市立診療所まで定期バスを走らせて患者の送迎を行いつつ、昨年の11月から巡回診療を開始しました。並行してへき地診療所の申請を行い、数カ月以内には再び診療所として再開できるよう活動しています。
巡回診療は毎週火曜日の午前中と金曜日の午前中の週2回。閉鎖した後空き家となっていた診療所を整備して、市立診療所の医師、看護師、事務員が通ってくれています。準備期間中には近所の住民の皆さんが顔を出してくれて「いつから始まるの?」と聞かれたり、駐在所の警察官にも「助かります!」と声を掛けられ、柄にもなく心が温まるような気持ちになりました。
周りから見たら確かに「交通条件も悪く経済的にも恵まれていない」かもしれませんが、住民からもらったレモンは最高に美味しく、送られてきた「自宅の庭から見る初日の出の写真」はとてもポジティブなイメージしか湧かないものでした。少なくとも私が住んでいる横浜では絶対に味わうことができないものでした。