介護事業は頂上にいる?

 交流会で知り合った相続コンサルタントの方とお話しをしてきた。最近は医療法人の理事長先生や病院の院長先生、介護事業を営む社長さん等と面談することが多いとのこと。特に介護事業を営む社長さん達は、介護保険が始まって23年、自身がそろそろ社長業の引退を検討するにあたり、誰かに会社を託すのか、それとも思い切って売却するのかを悩まれている方が多いと言う。事業の継承もそうだが社長さん個人にとってはいずれ相続にも関わってくるのだろう。

 売却と簡単に言っても買ってくれるかどうかは、自分の会社にその価値があるかどうにかかってくるだろうから、少なくとも赤字では困るだろうし、多少赤字だったとしても資産があれば魅力があると思ってくれるのか。運や縁、タイミングもありそうだ。買ってくれるのはある程度の規模のある法人さんだろうし、買う方にも体力や戦略が必要なんだろう。

 これまでの介護事業は順調に成長してきたと思われるが、その右肩上がりのグラフに変化が表れている。そう、上がるカーブが鈍化している。もしやそろそろピークなのではないかと思わせるグラフのカーブ。このカーブの先が緩やかに下がってくるかもしれないことをイメージしている経営者の方はいるのだろうか。たぶん肌では感じているのではないだろうか。肝心なのは向き合えるかどうかなのか。

 以前、知人の介護事業を営む社長さんから「後を継いでくれる人材がいないので引き取ってくれないか」と相談を受けたことがある。その方はもう高齢で、自分がこのまま会社を経営していく体力も気力もない。子どもたちはすでに独立し、離れた場所で家庭を築いている。社内の部下たちは社長が資金繰りや人繰りで苦労しているところを目の当たりにしているので、名乗りを上げる社員は誰もいない。

 介護保険開始後に起業しちょうど23年。50歳で起業したとすると73歳。そんな社長さんたちが世の中には大勢いらっしゃるのだろう。ご相談をいただいた案件はこの春に事業譲渡することになり、職員も利用者も無事に新しい法人に引き継がれることになった。買ってもらえるような魅力や資産のある法人にしておかなければ、いずれは消滅していく。これが社会資源の少ない地方の街なら住民たちにも影響が出るだろう。そうならないように微力ながらしっかりと支援できる力をつけていきたい。

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