ケアマネジャー

 この業界で仕事をするようになった頃、ケアマネジャーという職種があることを初めて知った。いくら介護保険がスタートした直後とは言え、医療法人の事務局次長としては「ケアマネジャーって何ですか?」と聞くことも出来ず、家に帰ってから必死に調べた記憶がある。その後いくつの居宅介護支援事業所を立ち上げ、何人のケアマネと関わってきたのか。仕事ではもちろんだが、介護家族としても両親の担当ケアマネにもとてもお世話になった。

 父が亡くなった時、キーパーソンだった姉が私と兄以外で一番先に連絡を入れたのが、担当ケアマネだった。そのくらい担当ケアマネは私たち家族にとって大切な存在になっていた。彼に初めて会った時、私はとても嫌な家族だったと思う。私は彼に対しまるで自分の事業所の部下のように接してしまったのだ。家に帰ってからケアマネジャーを必死に調べたあの時から、居宅の実地指導の前にはケアプランのチェックをするほどに私も成長したのだ。とは言え、本当に生意気で失礼な態度だったと思う。いつか会う機会があったら心から謝罪したい。

 池袋で会食したニュージャージー州生まれの社長の話しを聞くと、その社長が介護事業を展開する東京都下の自治体では、ここ数年でケアマネジャーの数が半減したそうだ。確かに私が勤めていた医療法人でもケアマネジャーの採用はとっても困難で、紹介会社を活用しようと連絡を取ってもらうと、紹介料は40%ですがどうしますか?と採用担当者に言われ、呆然としたことがある。理由はいろいろあるとは思うが、ニュージャージー州生まれの社長も「NYタイムズが選ぶ今年行くべき世界の旅行先」で何故か2位に選ばれた盛岡市生まれの私も考えは同じで、介護職員処遇改善加算の導入で介護職員の年収がケアマネジャーの年収を大きく超えたことだろう。ケアマネジャーの資格は持っているけどケアマネジャーにはなりませんという「なんちゃってケアマネ」が大勢存在する。

 今後ケアマネジャーはどうなっていくのか、ケアマネジャーを取り巻く環境はどのような方向に進んでいくことになるのか、また必死に調べて考えてみようと思う。

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